人生の転機


「人生チャンスは三度訪れる」
そして、「チャンスに出会わない人間はいない、チャンスをものにできなかっただけ」(アンドリューカーネギー)、日本では、「小才は縁に気づかず、中才は縁を活かさず、大才は袖すりあう縁までを活かす」(柳生家の家訓)とあります。
 
最後のブログ更新から10ヶ月。
後に振り返れば、間違いなくこの期間は僕にとっての人生の転機であろうと存じます。
 
ブログを更新しようと思っていた2012年の12月初旬、精神的支柱とする料理人が病に倒れた。
飲食店にとって12月は1年でもっとも忙しいとき、クリスマスを迎え沢山のご予約、年末には沢山の御節を用意しお届け、三賀日には恒例のブッフェ、、、、
日々日々市場から届く食材を最高の鮮度で掃除し、調理し、日々の運営をつなぐことにのみ集中せざるえない残された厨房のメンバーはまさに戦争の最前線で戦う仲間、人手不足は一目瞭然。
 
かつての縁、ともに表参道でレストランを運営したジョエルさんが、この不測の事態にすぐ動いてくれた。
自ら洗物をし、フライパンを握り、疲労困憊の仲間達を笑顔で鼓舞してくれた。
そして、ジョエルさんは僕に、「人手が足りないよ、厨房に入って手伝ってよ」、人生の転機となろう機会をくれた。
 
3日目、今まで包丁を握ったことすらなかった僕は厨房へ、
当初は洗いものをすることで少しでも皆の仕事を軽減しようと、必死になった。
掃除をしても仕切れない、市場から届く魚介、肉、野菜、、、その山を見て僕が掃除をしなくてはと包丁をすぐ握った。
なれない包丁さばきだが、素材はお客様のものという思いから、何よりも素材を丁寧に扱う。
慎重に慎重に包丁を入れて素材をさばいていく、数日間は素材の掃除と洗い物に追われた。
 
続いて見えてきたのは、調理と仕込みに奔走する仲間達、
仕込みを軽減できると、洗い物、掃除に続き、仕込みに僕の人生、1日24時間の全てを注いだ。
厨房に入って1週間もたっていない、スーツ姿にコックコートをまとっただけ、靴は革靴。
まかないなど食べる時間などない、体重は10キロ落ちた、ただただひたすらお客様を思った。体力の限界では、仲間とその家族、子供を思い支えられた。
 
それからも、日々日々料理と歴史、素材を考えぬく日々を過ごました。
棚卸しに時間がかかるから倉庫の整理整頓を徹底した、
厨房で探し物が多いことから調理器具の整理も徹底した、
調理器具や保管機材への投資もすすめた
所属する各種団体には参加できず、外部との接触はゼロ、皆を心配させ、迷惑をかけてしまった、その間もただただ料理と向き合った。
 
元来の好奇心はフレンチ料理の歴史や伝統はもちろん中華、和食にも触手は伸びた、日々日々集めた書籍は100冊を超えた。
素材への好奇心は市場に足を運ぶに時間はかからなかった、そこで出会う素材に新しい料理を考える機会をもらった、新しい調理器具も購入してがむしゃらに試した。
プロの仲卸さんたちとは太い太い絆が出来た、僕の目となって全国から、納得いく荷主さん、素材を厳選してくれている。
そして僕を支えてくれる仲間達は日々の試作に明け暮れる。
 
未経験が故の料理に追われた半年は終わった、新たな半年を迎えようとしている。
「季節・素材に自然で、素直に美味しい料理を作ろう」と昨日スタッフを集めて決意を伝えた。
8月1日から新しい仲間が加わる。
 
引き続き、料理の道とは人生をかけて向き合いたい。
そして新しい半年は、料理の道に加え、お越しいただくお客様と向き合いたいと存じます。
 
明日お越しになる、お客様1組1組、1人1人の準備にブログを書く今も取り組んでおります。
一日数百人になろうとも、予約を頂いたお客様については一人一人について考え抜く半年になります。
 
岩崎 肇