名残の鱧 2014年


2014年 名残の鱧
ヒグラシの鳴き声が心なしか涼しく感じる8月も下旬にさしかかりました。
季節に合わせて、食材も移り変わり始めております。
京都の祇園祭りを始まりに多くの方々が舌鼓をした鱧もその一つですね。
夏を代表する食材もいよいよ、名残の鱧といわれる季節にはいりました。
今日は私が所属するロータリークラブの皆様から頂いた鱧尽くしの会開催にあたり、
簡単ですがキーワードと開発中のお料理をご紹介させていただければと存じます。

※今回ブログで紹介させていただく写真は、京都の鱧老舗のお店で料理を頂きながら撮影させていただいたものです。直接の料理とは異なりますが、技法等勉強させていただいたものなどをそばに紹介させていただきます。
~~ 鱧 キーワード ~~
鰻と同じ科
100m前後の深度に生息 甲殻類を食す
7月 祇園祭=鱧祭り
8月 名残の鱧
京都で鱧料理が発達した理由 鱧の強靭な生命力=内陸までの輸送にかかる時間
・日本で選択される主要な調理法
鱧ざく
鱧しゃぶ
落とし
ボタン
白焼き
幽庵地焼き
しんじょう
押し寿司
・日本で使用する主要なタレ
幽庵地(醤油、味醂、日本酒)
八方割り
梅肉
・洋食で選択される主要な調理法
ソテー
白焼
ムース
~~~

貝殻亭 オリジナル メニュー

== ピストゥ(バジリコ)とタップナード 鱧のエスカベッシュ ==

■ 鱧のエスカベッシュとマリネ液
白焼き、落とし、ボタン、、、、先代の料理人は多くの方法を考案してくださりました。

鱧のエスカベッシュの楽しみは、鱧ざくのそれに似ているのではないかと存じます。
大変強い弾力をもつ皮をざくざくと切り、その食感をキュウリのコリコリ感と一緒に酸味を合わせて、楽しむ鱧ざく。
こちらは、エスカベッシュなので、キュウリとはいきませんが、玉葱や人参の甘み、ハーブ類の香り、白ワインヴィネガーの酸味が鱧に吸収され、何度もかんでいく中でそれらのエキスを長く口の中でお楽しみいただけます。セミドライトマトが食感を添えます。
■ ソースピストゥーと南仏の食材

そしてお皿の下に馴染ませたように敷くソースピストゥの特徴は、じっくりとローストをかけた松の実と胡桃をふんだんに使った重厚なテイスト(イタリアンですと、ジェノバソースともいいます)。今回は、そこに南仏の素材「黒オリーブオイル、ケイパー、セミドライトマトなど食感を残す素材を合わせ、食べた感を満喫して欲しいと存じます。
== 鱧の餡 酢橘のチュイール 鱧の皮 ==

■ 鱧の餡(葛餅)
鱧の身を皮からはいで良く練って山芋、卵白、、、などと混ぜ蒸した料理をしんじょうと呼ばれます。
私どもは剥いだ身をコンソメで茹で、そこに葛粉を混ぜ餡にしました、旬を迎える蓮根を食感として和えております。
■ 酢橘のチュイール
鱧の餡は酢橘のチュイールに乗せて提供されます。西洋人がオレンジの香りをかいで食欲が沸くように、我々にとっては酢橘や柚子の香りなのかと存じております。甘みをつけた液体を塗り、酢橘の身を一枚の紙のように仕立てて参ります。酢橘を搾らずとも餡と一緒に楽しんでいただきたいと思って作りました。
■ 鱧の皮のチュイール
私の知り合いの漁師さんから、散々魚を食べてきたお孫さんの正直な思いをうかがいました。「おじいちゃん、鯖の皮が一番おいしいね」。確かにDHAやEPAが豊富な脂は皮と身の間に沢山あります。実際、魚を焼いていてもその皮面の栄養がとけカリッと固まった時は、その美味しさを想像させます。しかし一方、臭みが集まる魚種もいるようでうす。ウナギ化の鱧はその類といわれます。においと旨みのバランスをとるのが大変難しい一品となりますが挑戦です。

== 鱧のボタン 梅肉のドレッシング 旨みのトマト ==
・ 牡丹

■ 鱧のボタン
事前に味を馴染ませた鱧、骨切りした肉と肉の間にまでしっかりと粉をつけて落とす。ふわっと牡丹のように膨らむ、粉は熱が加わり、水分を含みぷるっと凝固する。熱は刺身でも食せる鱧の肉にはいっていく。肉の水分は外に出ないように。氷水で一気に冷やす。透明感の強い一品であるが、ほんのりした香ばしさが特徴なのが、皆さんが好きな鱧のボタン落としなのかと存じます。

■ 梅肉のドレッシング風味のサラダ
梅肉は京都の老舗で買ってきました。フレンチドレッシングは貝殻亭の定番でそこに柴漬けのみじん切りも加えました。
サラダだけに、苦味のある菜、塩味のある菜、辛味のある菜をバランスよく選び、梅風味のドレッシングで和えますが、個性の強い菜っ葉をひとつにまとめ上げるだけに梅の力は改めて素晴らしいと感じました。

■ 旨み成分 トマトとジュレ
透明感のあるこちらの一皿に奥行きを持たせたいと思い考えましたのが旨み成分が多く含まれるトマトとその果汁のジュレです。
== 鱧燻製バターのムニエル 醤油とワインのソース リゾット ==
白焼
■ 鱧 柚子バターのムニエル
相対的に油分を補いたいという場面ではムニエルを選択されます。一見、小麦粉を振ってバターで加熱するので重くなりがちなムニエルだけに、食欲を増加させる柚子の香りをまとわせようかと存じます。
■ 味噌 ワイン ソース

醤油、味醂、清酒を使って地を作り、素材に何度と塗っては味わいを加え深めていく、そんな手間隙惜しまない和の技法。それらをワインやポルト酒でまとめてみました。しかしあくまで、そのソース(たれ)の味わいの骨格は醤油にあり、味噌をあわせることで醗酵した調味料のもつ奥深さがさらに加わるのかと存じます。

== 鱧 カダイフ マドラス地方のマサラ レモンのタルタルソース ==
てんぷら

■ 鱧のカダイフ巻き
鱧の身に下味を馴染ませて、生ハムを乗せてカダイフで巻きました。170度前後の油で狐色になるまで揚げ、余熱で火を入れていきます。カダイフのシャリシャリという食感、揚げることで脂を補充しますが、中はふわっとした状態を狙って参ります。
■ カシューナッツのピューレ

カシューナッツをじっくりとローストしてピューレにします、コリアンダーの粉末も加え、鱧の一品に添えます、味付けのアクセントは、このお皿全体の風味が、インドかつてのマドラス州のマサラだけに、それにあわせてピューレも選びました。

■ レモンの風味のタルタルソース
まだまだ残暑がある時期だけに、さっぱりと食欲を促進するように、マサラと合わせて選びましたのが、柑橘類の香りがするタルタルソースです。レモンの皮のコンフィ、シトロンヴィネガーを使用します。