これからの日本人へ

著者(編集者):松下幸之助
出版社:PHP研究所

春があって夏があって、秋があって冬があって、日本はよい国である。自然だけではない。長い歴史に育まれた数多くの精神的遺産がある。その上に、勤勉にして誠実な国民性。日本はよい国である。こんなよい国は、世界にもあまりない。だから、このよい国をさらによくして、みんなが仲よく、身も心も豊かに暮らしたい。

日を新たであるためには、いつも”なぜ”と問わねばならぬ。そしてその答えを、自分でも考え、また他にも教えを求める。素直で私心なく、熱心で一生懸命ならば”なぜ”と問うタネは随所にある。きょうはきのうの如く、あすもきょうの如く、十年一日の如き形式に堕したとき、その人の進歩は止まる。繁栄はなぜから始まる。

親を大事にし、上司に敬意をはらう。先輩に礼をつくし、師匠に懸命に仕える。親や師にたいするだけではない。よき仕事をする人を心から尊敬し、一隅を照らす人にも頭を下げる。天地自然、この世の中、敬う心があれば、敬うに値するものは無数にある。

日本には”寛厳よろしきを得る”ということばがありますが、今は”寛”があっても”厳”がないですね。政治も厳がない、寛だけです。

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